
トラウマは「心の奥で押し込めたSOS」
トラウマとは、ただの過去の出来事ではありません。
それは、今この瞬間の感情や行動、反応の中に表れ続けている記憶された痛みです。
ふとしたときに心が過剰に反応したり、特定の場面で凍りついたり、怒りや不安が理由もなく湧き上がってくる…。
それは、心や体がまだ「安全ではない」と感じているサインかもしれません。
バーストラウマ
トラウマは、生まれてからではなく、生まれる瞬間やそれ以前から始まっていることもあります。
これを「バーストラウマ(出生時トラウマ)」と呼びます。
これはスピリチャルの世界でもチャクラのアンバランスにたとえられたり、占星術で出生の難ということで表現されたりもしますが、もっと現実的な視点で解説するとたとえばこのような出産における困難がトラウマや情緒の不安定につながることもあるのです。
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難産だった
命の危険があった -
促進剤や帝王切開などで母体が強いストレスを受けていた
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出産直後、母親が混乱状態やうつ状態にあった
こうした状況では、母子のスキンシップや安心感を育むはずのオキシトシン(愛着ホルモン)などが十分に分泌されず、
脳や神経系が「安心」という感覚を十分に体験できずに発達してしまいます。
その結果として、人生の最初から「つながりよりも警戒」が優先される神経システムがつくられてしまうのです。
トラウマは「孤独なとき」に形成される
トラウマの本質は、そのトラウマがあなたの中にできはじめた時、
誰にも助けを求められなかったこと、その心理的・物理的な孤独な状況あります。
傷ついた瞬間に、そばで「大丈夫だよ」と言ってくれる人がいたら、
その出来事はトラウマにならなかったかもしれません。
でも実際には──
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助けを呼んではいけないと思っていた
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親が悲しむと思って何も言えなかった
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自分が我慢すれば丸く収まると信じていた
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そもそも、助けというものを知らなかった
助けを求めたかったのに、それができなかったことこそが、
心の奥に「ひとりぼっちの恐怖」として残るのです。それは当時のあなたにとって命の危機だったことでしょう。
トラウマは適応だった──あなたが生きるための選択
トラウマに気づくことは、簡単なことではありません。
なぜならそれは、自分の幼少期の現実や、親との関係、存在意義までも揺さぶるほどの痛みを伴うからです。
トラウマを受け入れることは、自分自身を否定するように感じてしまう人もいるでしょう。
だからこそ、多くの人がトラウマに「気づかないまま生きること」を選びます。
でも、もしその痛みに気づけたなら、それは本当に大きな一歩です。
トラウマとは、あなたが「感じないようにした記憶」でもあるからです。
でもそれは、あなたが生き延びるために、必要だった適応反応でもあるのです。
「助けが必要です」と宣言することの自由
癒しのプロセスにおいて、ヒーリングはここからはじまります。
それは、「私は助けが必要です(だった)」と、はっきり認めきってしまうことです。
それは、かつて言えなかった「たった一言」かもしれません。
でもその言葉こそが、あなたをトラウマという孤独から解き放つ、鍵になります。
トラウマは、過去に閉じ込められたままの「助けて」が、今もあなたの心のどこかで囁いている状態です。
でも今度こそ、その声に耳を傾け、言葉にしてあげることができます。
「私はひとりで頑張らなくていい」
「私は助けを求めていい」
そう気づいたとき、
あなたの内側で長く続いていたサバイバルは、
ゆっくりと、癒しの旅へと変わっていくのです。